読書録「身から出た闇」4
著者 原浩
出版 角川ホラー文庫
p199より引用
“ エレベーターの事故について検索する
と、スマホの画面には様々な事故のニュース
やら報告書やら動画などがずらりと表示さ
れる。”
目次より抜粋引用
“トゥルージー
裏の橋を渡る
らくがき
「籠の中」執筆に関わる一連の出来事
828の1”
作品の執筆とそれに関連して起こる、日常
の恐怖を描いた、短編ホラー小説集。
デビューから世話になっている担当と、
その他に二人の担当編集者とで、新しい作品
についての打ち合わせをする著者。
著者本人に書きたい気持ちはあるのだが、
ホラーに対して強い思いがあるわけでもな
く…。
上記の引用は、作中作「籠の中」での一文。
簡単に調べ物が出来る時代になり、欲しい
情報が容易に手に入るのはとてもありがたい
ことです。
しかし、欲しくて有益なもの以外の、無益
どころか害になるような情報まで目に入って
しまうのが、困りどころ。
いかに余分な情報を手に取らないようにす
るかで、自分の時間を大切に出来るのかも
知れません。
現実の出来事を元にホラー小説を書き上げ
る中、どこからが空想でどこまでが現実か、
境界線が分からなくなるというのは、作家
ならではの恐怖なのではないでしょうか。
創作に関わる人達は、自分の作中で行おう
としていたことを、現実に行ってしまわな
いように、気を付けなければいけないのな
らば、日常に結構疲れてしまいそうです。
「我々が深淵を覗く時、深淵もまたこち
らを覗いているのだ」とは、ニーチェの言葉
でしたでしょうか。娯楽としての恐怖を読者
に与えるために、作家や編集者は、怪異と
人と現実と空想の間を、行ったり来たりし
ておられるのかも知れません。
今作に出てきた担当編集者に関する記述と
出来事が、フィクションであることを願っ
てやみません。
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